高級なパワーアンプと高級なスピーカーを手に入れたあと、マルチチャンネルで映画などを見るときのAVアンプの構成と、DACやネットワークストリーマーからのピュアな再生とでアンプ・スピーカーを共通して使いたいと思うものです。プリアンプ、プリメインなどの構成の場合入力ソースの切り替えに困難はないかもしれません。残念ながら当方の構成は、「プリ」段階のない、(DACまたはAVアンプ)→パワーアンプ→スピーカーというものです。これの切り替えと電源連動を自動的にやらせたいというのが今回の目標になります。
AVアンプだけの構成の場合は難しくありません。ピュアオーディオを目指す方々はやはりAVアンプの音質には我慢できず、ちょっと上のパワーアンプとDACを導入されているのではないかと思います。そんな環境でスピーカーは1組、入力ソースが複数となると、プリアンプを間に挟んで、プリアンプで入力切替を行うといった構成が正攻法ではないかと思います。
今回ここでは、無謀手抜き構成にチャレンジします。
AVアンプ(YAMAHA)には12Vの電源コントロール用のトリガーが2系統。DAC(実際はそれとつながるネットワークプレーヤー)にも12Vトリガー出力。パワーアンプにも12Vトリガー入力があり、これらを駆使して実装します。
AVアンプの電源がオフの間はDACと繋がっており、AVアンプの電源を入れると入力ソースがAVアンプに切り替わります。またパワーアンプに入力した12VトリガーでAVアンプかDACのどちらかがオンになるとパワーアンプも自動的に電源が入ります。パワーアンプに2系統の 12Vトリガー入力があるか?と思いますが
と、2つのピンジャックが実装されていることがあり、out のところを入力として使います。というのも中の回路は方向を意識した作りになっていないと思われるからです。私の場合実際これで動いています。
AVアンプの12Vトリガー出力は 0.1A つまり 1.2Wまでの電力は供給できるとあります。この電力の範囲ならもしかしてリレーを直接駆動できるのではないかというのが「電源レス」の発想です。ごく汎用品の 12V駆動のリレーを探します。XLRのシグナルを左右通すためにどうしても2極、2系統が2つ要ります。データシートを調べます。オムロンの G5V-2 DC12 というリレーを見ると
2つで1W。ぎりぎりトリガーの電力で駆動できそうです。このシリーズのリレーには高感度版といって消費電力半分のものがありますが接点抵抗が倍になります。プリレベルのシグナルなので音質に響くほどのものではないと思いますがトリガーが使える電力が小さい場合はこちらを選ぶことになったかもしれません。
そこで2つのリレーを使った切替器の回路図を考えてみます。
今回は、入力がXLR+RCAなのでこうなりましたが、XLR+XLR入力でも同様に可能です。ポイントは、GNDを共通に繋いでしまっているところ。「切り替え」だけを考えれば、入力1,入力2がGNDも含めて完全に独立していてもいいのでしょうが、そうしたところ、切替時に盛大なポップノイズが入りあまり健康的ではありませんでした。
完成品の画像はあまりにひどいのであえて公開を控えさせていただきます。べたべたのはんだ付けと被覆の溶けた空中配線でとてもお見せできるものではありません。が、動作は問題なく、音質のロスもおそらく大したことなく実用上問題ないです。
先のデザインで問題があったので改良版を考えました。先のデザインの問題点は
XLRの1(Shield)とRCAのグランドが共通しているため、Trigger OnでRCAが選択されるときXLRのShieldがノイズを拾っているようでした。
バージョン2の特徴
・XLRの 1 2 3 すべてを独立してリレーでオン・オフ
・リレーを3個(6極)使用。電力問題は小型の omron G6K-2P で解決 0.5W + 0.1W x 2 = 0.7W